●神奈備の里/稲渕(明日香村)


基 礎 諸 元 平均勾配 団地面積
1/4 21.5 ha



維持・保全・利活用状況
平成8年度から棚田オーナー制と呼ぶ市民農園を開設。当初田圃オーナーの みの33区画で発足したが、年々増加し平成11年度には田圃オーナー・畑オーナー併せて135区画に拡大している。棚田オーナー会内には棚田部菜園部、自然部、遊部、広報部を設け、農作業外の活動においても地元農家、会員間の交流が活発である。 当地域では棚田オーナー制の他に、春には「蓮華祭り」、夏には「蛍の夕べ」、秋には「彼岸花祭り」、「収穫祭」等のイベントを開催し、棚田の持つ美しい歴史的景観を広く訪れた人々に楽しんでいただいている。 棚田オーナー制を導入したことにより、地元指導者が育成され、いろいろな発展的な農業の取り組みがなされており、今後も棚田の維持保全が継続的に期待できる。

推薦項目  国土の保全     生態系の保全     景観     伝統文化の維持保全
推薦理由 国土の保全:下流直下に橿原市の市街地が隣接しており、田圃の貯留機能により洪水防止の国 土保全機能がある。

生態系の保全:蛍の生息空間である。最近、棚田オーナー、地区子供会の共同で、オオムラサキ蝶の保全活動を実施しており、最近里山に蝶の乱舞が見られるようになった。

景観:明日香村全域が歴史的風土保全地区、風致地区に指定されており、当地域を含め村全域が農村の原風景を強く残している。また、はざ掛けや一本の棒の周りにワラを積み上げる「ススキ」を、棚田オーナーを中心に景観保全活動として実施している。

伝統文化の維持保全:大化改新に大きな影響を及ぼした遣隋使、南淵請安の墓があり保存されている。地区内には飛鳥時代の「飛鳥川上座宇須多山文比売命神社」が在り、水の神様として現在「南無天踊り」と呼ばれる雨乞い行事が行われる。また正月15日には、栢森集落では女綱、稲渕集落では男綱が飛鳥川に架けられ、一年の豊穣と子孫繁栄を祈る。

棚 田 の 概 況 枚 数 315 枚 水 源 河川
事業導入 法面構造 土羽・石積・ブロック
開発起源 中世(平安〜室町時代)
営 農 の 状 況 対象農家数 52   戸 10a当収量 400 kg/10a
戸当り営農規模 0.4 ha/戸        10  枚/戸
高付加価値農業 棚田米ブランド名「あすか米」を農協において販売しているほか、棚田を対象に予 約販売や有機低農薬で栽培した農林産物を宅配する「釆女の宅急便」の会員に秋、新米として届けられている。農協でのブランド名「あすか米」の販売は好評で、予約量 が増加している。「釆女の宅急便」の会員数は150名程度で「あすか米」の安定した需要が見込まれる。
特記事項の有無 なし。